給食室から


「大切にしてきた手づくりの食事」

杉並さゆり保育園栄養士


安心して食べられる食事をつくりたい


 さゆり保育園が認可保育園としてスタートした一年後、東京都の独自の施策として栄養士と看護師を産休明け保育園(6人産休明け児がいる保育園)に配置されました。東京都で60年前に実現したこの先進的な施策ですが、いまだに0歳児保育園のみに配置されているだけですし、全国的に広がっていません。
 60年前、1960年代の高度経済成長の悪しき副産物、環境公害と合わせて、食品公害も社会問題になっていました。香辛料や過剰な化学調味料、そして何種類もの添加物を加えて製品化されている加工食品が、乳幼児の食生活にも随分入り込んでいました。子どもたちの食事には加工食品は使わない工夫をしました。加工食品は使わないこともできたのですが、卵、魚、野菜などの生鮮食料は使わないわけにはいかないので、養殖魚は避け、抗生物質が高濃度で蓄積しているレバーは使わない等の小さな防衛をするのみでした。1977年にバナナやかんきつ類を腐敗させないで船輸送するために、防腐剤のOPPがアメリカの強力な要請で許可されました。子どもたちにも人気があり、おやつづくりの手間も省いてくれるなど、魅力的なバナナでしたが食べるのをやめ、それからしばらくは輸入果物は使わなくなりました。
 その後、地域の商店の人たちとの交流が薄くなってしまうことを最後まで迷いながら、現在は東都生協に加入してほとんどの食品を購入しています。加入後はバナナやレバーなど安心して食べられるものが手に入るようになりました。野菜やくだものといっしょに届く生産者からの便りを手にすると、手塩にかけて作られたことが伝わってきて、粗末にはできないと思います。


季節感のある食事つくり


 トマトは7月から9月、白菜は11月から2月などと、季節を代表する野菜、くだもの、魚など食べごろに献立にとり入れるようにしています。重油をたいてまできゅうりを作ったり、雪がふるころにぶどうを食べたり、日本人の食生活のあり様には悲しい思いがします。
 食べ物が季節を無視して作られたり、地球の裏側から運んでくるなど、すっかり季節感がなくなってしまいましたが、自然のサイクルに寄り添った食生活を子どもたちに伝えたいと思っています。
 献立はひと月単位でつくります。以前は献立どおりに食事を作っていましたが、上旬・下旬の野菜・くだものでき具合の違いにあわせたり、さゆり保育園の人徳の輪のおかげで、たびたび旬の野菜などが届くのでそれに合わせて献立を入れ替えたりしています。


食物アレルギーから学んだこと


 50年ほど前、子どもたちの耳の付けねがじくじくしたり、皮膚症状がなかなかよくならない子どもたちがよく見られる様になりました。まもなくこれらの症状が食べ物が原因になっていることもあるとういうことを知り、すぐには信じ難くなかなか納得できませんでした。
 それから2年間ほど、学習や話し合いなどを繰り返し、除去食の進め方を見直しました。この見直しのなかで日常の食生活の中に落とし穴があることを知りました。植物性油=コレステロールを低下させる!という植物油信仰に洗脳されていて、使いすぎに鈍感になっていました。油のとり過ぎはアレルギーを起こしやすくするばかりでなく、症状を重くすることがわかっています。
食物アレルギーの除去食は、たんぱく源は肉より魚を、低農薬の野菜を中心に油、砂糖などはほどほどにということで、和食がメインになりました。普通食の場合もご飯をメインに食事を作っています。大きく変わったのは、子どもたちは魚が好きになり、そして脂の消費量が減ったことです。


食べる力・生きる力を育てるクッキング・野菜の栽培


 子どもたちはミニトマトを育てたり、そらまめの皮をむいたり、尾頭付きの魚が届いたときにはさわってみたりして、食材に親しみます。
粘土遊びで培われた手指で団子をまるめ、ゆがいて食べることなども楽しんでいます。自分で作ったり育てたものは好きでなくてもぺろりと平らげる子どもの姿に、クッキングや栽培の持つ力の大きさを痛感します。

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